近年、アジア太平洋地域では、地震や津波、戦争等、災害が多発しています。防災対策が不十分な途上国では、激甚な被害を引き起こし、また、災害時の緊急対 応策・被災後の修復計画の不足が、文化遺産の大被害や消滅を招いています。文化遺産の消滅は地域の人々が共有する記憶の喪失を引き起こし、地域の文化的アイデンティティの危機をもたらします。文化遺産は生活に不可欠なインフラストラクチャの一部であり、災害復旧過程でも精神的支柱となる地域の共有財産といえ ます。
ユネスコ・チェア「文化遺産と危機管理」国際研修は、2005年1月に神戸で開催された国連防災世界会議の“ユ ネスコ・イクロム・文化庁 文化遺産危機管理”分科会勧告の、フォローアップにあたります。同勧告は、大学等に対しては、関連学術分野を統合し、ユネスコ・チェア制度を用いるなどして、文化遺産危機管理に関する国際的なネットワーク形成や研修研究を進めるよう、求めています。立命館大学は、この分科会の会議運営をユネスコから委託された経過から、この勧告の早期実現に協力する必要があると考えました。そこで、2005年12月に世界遺産保護国際セミナーを開催し、大学として可能かつ必要な国際協力分野を検討し、2006年3月には文化遺産防災分野で世界最初のユネスコ・チェアを申請いたしました。ユネスコ・チェアは、先進国の高等教育研究の成果を途上国等に還元するユネスコの活動です。立命館大学は、このプログラムの責任者であるユネスコ・チェア・ホルダーとして、COE推進機構 益田兼房特別招聘教授を指名し、このプログラムの認定を受けました。
| 2004年 | 7月 | 立命館大学歴史都市防災研究センター 土岐憲三センター長および COE 推進機構 益田兼房特別招聘教授が、パリのユネスコ世界遺産センター等で、今後10 年間の国際的な防災の取り組みの基本方針を定める国連防災世界会議において、「文化遺産危機管理」分科会を開催することの重要性についてプレゼンテーションを行い、国際的合意形成に成功しました。 |
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| 2005年 | 1月 | 神戸にて、国連防災世界会議が開催されました。この国際的な防災を話し合う会議において、初めて文化遺産がテーマとして取り上げられました。それが、「ユ ネスコ・イクロム・文化庁 文化遺産危機管理」分科会であり、この実施について、立命館大学は、ユネスコから事業委託を受けて会議の準備運営等を担当いたしました。 |
| 12月 | 「世界遺産保護国際セミナー」を開催し、文化遺産危機管理に関する国際研修のあり方等を検討。文化遺産の多様な価値の確保を前提とする危機管理の重要性の確認を行いました。 | |
| 2006年 | 3月 | 文化遺産防災の分野では最初となるユネスコ・チェアを申請しました。 |
| 7月 | COE 推進機構 益田兼房特別招聘教授、ダボス会議にて文化遺産危機管理における伝統的な知恵と国際研修への取り組みについて発表。パリのユネスコ本部で、この国際研修への協力を依頼。ユネスコ世界遺産センターホームページに紹介されました。 | |
| 10月 | ユネスコ・チェア認定を受け、立命館大学 歴史都市防災研究センター主催で、ユネスコ・チェア「文化遺産と危機管理」国際研修を開始しました。 |
国際研修は、ユネスコ・チェア「文化遺産と危機管理」の主要事業であり、自然災害の多いアジア太平洋地域から、政府や研究機関の、文化遺産保護専門家と防災専門家などを招聘し、講義・見学・演習を通して、各国の課題を認識し、文化遺産保護専門家と防災の専門家が協同して、文化遺産の価値を尊重した危機管理計画を作成する手法を習得することを目的としています。
5年間のプログラムの初年度である2006年度は、2005年インド・パキスタン国境のカシミール地方で大地震を被ったインドとパキスタン、同じく2004年スマトラ島沖地震の津波被害、また2006年ジャワ島中部地震の被害を受けたインドネシア、大きな山火事被害を受けた韓国の4力国から8名を招聘し、文化遺産危機管理の原則と基本的考 え方などの講義、京都の世界遺産における防災施設や阪神淡路大震災の被災エリアの見学を経て、各国の世界遺産またはその候補を具体的に取り上げての、文化遺産危機管理計画を作成する演習を行いました。この国際研修は、ユネスコ世界遺産センターから世界に発信さ れるとともに、ユネスコ専門家などの高い評価を受けました。
2006年度の開催模様はこちら
2007年度 開催概要(英語のみ)、日程表(英語のみ)
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