プロジェクト

研究所紹介

立命館大学歴史都市防災研究所は、これまで文化遺産の宝庫とも言うべき京都・滋賀を拠点として、芸術と文化の保全と、それを支える環境とコミュニティを含めた災害対策とを、一体の物として捉える「文化遺産防災学」の教育・研究を推進するために、2003年の歴史都市防災研究センター設立以降、文部科学省21世紀COEプログラム、同グローバルCOEプログラム等の外部資金を積極的に獲得しながら、文理を連携させた研究活動を行ってきました。

2006年10月には、UNESCO本部より当時のセンターにUNESCO Chairが設置され、これを契機に文化遺産の防災に関わる国際研修事業も継続しており、国際的な文化遺産防災学のネットワーク・ハブとしての役割も果たしてきました。

2012年度末のグローバルCOEプログラム「歴史都市を守る『文化遺産防災学』推進拠点」の事業終了を受け、2013年4月には歴史都市防災研究センターを発展改組し、永続的に活動を推進するための基盤として「歴史都市防災研究所」を設立いたしました。

文化遺産とこれを取り巻く歴史都市を災害から守るためには、関係する様々な分野の研究者や機関が協力して、総合的な視点から研究しなければ、技術開発や研究成果を実社会の施策へと反映することはできません。
こうした広い分野における国内外のリソースが連携するためには、それを可能にする場が必要となります。

歴史都市防災研究所では、これまでの実績を基盤にさらなる発展を図ることで、文化的で安全な社会の発展に貢献するための方策を国内外に提供できる、教育研究のための拠点形成を目指しています。

研究領域

①文化遺産防災技術研究部会

文化遺産とその周辺地域の火災、地震、地滑り、洪水など、主に自然災害の危険性に対して、立地条件、地理的、地質的条件などに応じたリスクの同定手法や災害の抑止・予測手法を確立し、これらのハザードに対する強靱性を高めるための技法を開発する。

②歴史災害研究部会

歴史災害のデータベース化、およびGISを援用した地図化などを通した史資料のアーカイブ化、これを活用した歴史災害の復原による過去の減災の知恵を精査し、現代の最新技術の援用により、現代に活かすことができる知恵への応用とその有効性の検証を行う。

③歴史都市防災計画研究部会

文化遺産を核とした周辺地域の防災環境整備へ向けて歴史都市の防災計画の策定を行う。計画実施に必要な要件や評価手法を確立し、文化遺産を守り活用する歴史防災まちづくりを実現するための研究を推進する。

④文化遺産における人災・獣害研究部会

深刻な被害が報告されている美術工芸品の盗難、歴史的建造物への放火などの人災や、近年多発傾向にあるアライグマなどの獣害から文化遺産を防御するための、社会的な枠組みや技術を開発する。

⑤歴史都市・文化遺産の継承と保全のための政策研究部会

世界遺産を始めとする文化遺産の観光と防災とを両立させるための政策に関する研究を推進するとともに、文化遺産の保全・継承のための政策、予算計画ならびに寄付拡大のための方策に関する研究を実施する。

⑥国際展開・社会連携研究支援プログラム

京都をフィールドとした文化遺産の防災に関わる国際的な研修事業を中心に、世界各国での文化遺産の防災に関わる研修事業の支援を行う。また、GIS技術を援用した文化遺産防災情報の国際的共有手法の開発、歴史都市および文化遺産の災害とその対策に関する情報アーカイブの構築を行う。

特徴的な活動

国際社会へ向けた教育と情報発信
  • ①途上国を中心とする文化遺産防災教育への支援
    • JICA 集団研修「歴史都市の保全・防災と文化観光への活用」(協力事業)
    • インドネシア公共政策立案(防災) 研修(協力事業)等
  • ②立命館大学UNESCO Chair「文化遺産と危機管理」国際研修(直轄事業)の実施
    文化遺産防災の分野における世界初のUNESCO Chairとして2006年に認定。国境を越えた知識の交換と研究成果に基づく国際協力の促進を目的としたUNESCOの取り組みとして、2012年までに延べ60名の修了者を輩出してきました。今後も継続し、毎年8名程度の研修生の輩出を目標としています。
国内社会へ向けた教育と情報発信
  • ①講義「文化遺産防災学」と教科書出版
    「文化遺産防災学」に関連する各分野の専門家によるリレー講義を実施しています。講義のリソースを集約した教科書「テキスト文化遺産防災学」も出版しています。
  • ②「文化遺産防災学 教育プログラム」の運営
    大学院生や学外からの科目等履修生が参加可能な、履修証明制度を利用した分野横断型の教育プログラムとして実施しています。市民や、他大学を含む国内学生、実務家である社会人学生に対して広く「文化遺産防災学」に触れる機会を提供し、当該分野の裾野の拡充と発展に貢献しています。
地域社会へ向けた情報発信と活動交流
  • ①展示ルームの一般公開
    研究所にある100m²に及ぶ「展示ルーム」にて、様々な企画展を常時開設しています。
  • ②地域社会との連携
    地域コミュニティによる自主防災組織や、「明日の京都 文化遺産プラットフォーム」などの市民団体と連携し、実践的な地域貢献を進めています。
  • ③「地域の安全安心マップコンテスト」の開催
    小学生が自宅周辺や学校周辺などの身近な地域を調査し、それを地図化することで、地域の安全安心について考え、保護者や小学校と情報を共有することを目的に、2007年より毎年実施しています。優秀作品の中から、国土交通省・全国児童生徒地図優秀作品展にて審査員特別賞が選出されるなど、社会的にも高い評価を受けています。
学術分野での情報発信と研究交流
  • ①年次事業として「歴史都市防災シンポジウム」を開催
  • ②査読付き学術論文集として「歴史都市防災論文集」を毎年発行
  • ③立命館大学アート・リサーチセンターとの連携
    日本文化をデジタル技術で解析し、新たな人文学を追求する本学の教育研究機関と協働し、文化の継承と保全、維持と活用のための分野を越えた研究活動を展開しています。