わが国は長年にわたって、営々として文化財の保護に当たってきましたが、地震や洪水のような自然災害に対する対策は十分ではありませんでした。一方、自然災害に対する研究や技術開発は活発に行われてきたものの、文化財や歴史遺産をかけがえのない特別なものとして扱う視点は欠けていました。
このようなエアポケットとも言うべき分野の学理と技術開発を行い、それに基づく対策を実施しなければ、文化遺産を安全に後世に引き継ぐという責務を果たせません。文化遺産をめぐる社会の環境は20世紀において激変しており、災害に対する安全性の低下は、それ以前の時代に比較して著しいものがあります。また、日本の文化遺産は世界の人々と共有していることも忘れてはなりません。
大規模な地震や洪水の発生が懸念される折から、文化遺産を守るための対策を早急に構築しなければなりません。このためには、文化遺産防災に関わる技術開発と学問体系の構築が必要です。これらを推進するために、当センターは、立命館大学の21世紀COEプログラム「文化遺産を核とした歴史都市の防災研究拠点」、学術フロンティア推進事業「文化遺産と芸術作品を自然災害から防御するための学理の構築」を支援するとともに、UNESCOなどの国際機関とも連携して、世界の文化遺産を災害から保全するための研究・教育拠点の形成を目指しています。
立命館大学 歴史都市防災研究センター
センター長:土岐 憲三